2007年4月22日日曜日

「テレビの次」は何なのか

テレビのつぎはと考えるとなにが浮かぶのだろう?
パソコン、ゲーム機器、携帯電話なのか?テレビは情報の伝達時間を限りなく0に近くすることを実現したが、インターネットはそれ以上なのか・・・
ただ、人がテレビに依存する時代はもう終わるのかもしれませんね。
管理人はほとんどテレビを見ないので。

4月9日号の特集記事「電機 勝利の方程式」の取材の最中,「テレビの次」の話題になりました。電子産業の牽引役が,今後は何になるのかという話です。ここ数年,液晶テレビやPDPテレビなどの薄型テレビが,日本の電機メーカーを活気づけたのは間違いありません。テレビに加えて,デジタル・カメラやDVDレコーダーといった,いわゆるデジタル家電製品が新たな市場を作りました。
 取材でいくつか聞いたのは,その勢いがあと数年で衰えてしまうことを懸念する声でした。あるアナリストは,金額で見た世界のテレビ市場は2009年にもマイナス成長に転じるのではないかと指摘します。調査会社のディスプレイサーチは,全世界のテレビ販売金額が2010年に対前年比0.1%減になるとの予測を発表しました。恐らく販売台数はもっと伸びるでしょうが,それを相殺して余りある勢いで低価格化が進むだろうことは,ご承知の通りです。
 冒頭の話題を切り出した取材先は,「その次」に来るものが見えないことを心配する素振りでした。我々も明確な回答を返せませんでした。健康関連製品や安全・安心を保証する機器,電子ペーパーや家庭用ロボットなど,候補を上げることは可能です。しかし,いずれもいつどれくらいの規模で市場が立ち上がるのかよく分かりません。少なくともデジタル家電のときは,もう少し展望が開けていた覚えがあります。
 この状況が意味するのは,決して電子産業の衰退ではないでしょう。注意が必要なのは,「見えない」と「ない」は違うということです。先に挙げたいくつもの候補の市場が予測できないのは,どのような形で市場を築くのかがハッキリしないためです。決して市場がないわけではありません。逆に言えば,これからは市場を立ち上げる手段をいち早く見つけた企業が果実を独り占めするのではないでしょうか。こうした将来を予感させる事例は既にあります。米Apple Inc.は,誰もが苦戦していた音楽配信や携帯型音楽プレーヤーの市場を一気に確立しました。任天堂のWiiや米Google Inc.の各種サービスは,多くの人が思いも寄らなかった新しい機器やサービスを生み出しました。
 「次の主役」が見えない現状は,日本の電機メーカーがこれまで行動規範としてきた「横並び」が通用しなくなることを意味します。振り返れば,ブラウン管テレビやVTRの時代から,パソコン,携帯電話機を経てデジタル家電に至るまで,国内電機メーカーは新たに勃興する機器の市場を支えに成長を遂げてきました。これらの機器では,多くの企業が同一の市場にひしめき合い切磋琢磨することが,製品の改良を促し結果として市場を活性化したのだと思います。この構図はもはや成り立ちません。「テレビの次」の答えは,それぞれの企業が独自に導くしかないのです。

日経エレクトロニクス 2007/04/18